インプロとは?

インプロとはインプロビゼーション(即興)の略語です。

即興といえば演劇、音楽、ダンス、ラップなどありますが、なかでもインプロという言葉を用いるときは「即興演劇」のことを指します。

何もないところから物語りを紡ぎ出す

インプロには台本やあらすじがありません。

一瞬先の未来がわからない中で、自由にアイディアを出し、相手のアイディアを受け入れ、互いに影響し合いながら、今この瞬間に生まれたものを紡いで即興で物語を創っていきます。

互いを尊重し合い、歩み寄り、遊び心を持って即興で物語を創っていくことで、想像もしない未知の展開へ進んでいくことができる。そこがインプロの面白いところです。

俳優訓練→舞台

脚本の演劇が主流となっていた近代以降、インプロは主に俳優訓練の手法として活用されていました。

それが20世紀半ば、インプロをそのまま舞台で上演する動きがアメリカやイギリスで生まれます。

アメリカではテレビでインプロ・コメディ番組が放送されるようになり、インプロの知名度が広がっていきました。
イギリスではインプロ専用劇場があったり、ライブハウスなどでインプロショーがたくさん行われています。

アメリカやイギリスではインプロが芸術ジャンルのひとつとして定着しています。

教育や企業研修でも活用され始めている

 俳優訓練の活用から舞台演劇へと発展したインプロはさらに、創造性やコミュニケーション、チームの心理的安全性を育む道具・手段として優れているのではないか?と注目されるようになります。

そこから次第に、企業研修や学校教育の現場でインプロが活用されるようになってきました。

海外ではGoogle、Netflix、Pixarといった有名大企業の企業研修の場でインプロが採用されています。

キース・ジョンストンのインプロ

大人は委縮した子ども

インプロの父と呼ばれるイギリス出身の劇作家・演出家のキース・ジョンストン。
彼がインプロ界に与えた影響は大きいです。

キースは子どもを「未熟な大人」ではなく、大人を「委縮した子ども」と表現しています。

これは、子どものときには誰しももっていた<創造性>や<表現力>が、学校や社会で様々なことを経験していくにつれて失われていってしまうということを意味しています。

キースは、インプロによって創造性を身に着けるのではなく、そもそも誰しももっていた<創造性>や<表現力>を引き出すことを目指していました。

創造性を失わせるのは「恐れ」と「検閲」

激動の人間社会を生きていくために人は「社会的こころ」を身に着けていきます。

そして社会的こころは、「評価への恐れ」「未知の未来への恐れ」「変化への恐れ」「失敗することの恐れ」「見られることへの恐れ」といった「恐れ」を生み出します。

そして恐れは「検閲」をもたらします。〈※検閲とは自分の頭に自然発生的に生まれたアイデアを、表現する前に確認することです。〉

検閲が働くと、人は自由に表現するのが難しくなってしまいます。

キースは恐れと検閲を生み出すのを止めるためのインプロゲームたくさん開発したのです。

インプロをやり始めて感じた変化 一例

インプロをやることで様々な変化を実感することがあります。

私個人が感じる変化としては「人と話すときの緊張感や焦りがなくなった」「思ったらすぐ行動できるようになった」「失敗を隠そうとする気持ちが薄くなった」などがあります。

ほかにも、インプロを学び続ける人からはこんな変化を感するという声があります。

・周りからどう見られているか気にすることが減った(30代・男性)

・人前で話すときに「何を話すか」考えすぎてしまうことが減った(50代・男性)

・会話を楽しめるようになった(20代・女性)

・失敗してもいいやと思えるようになった(30代・女性)

・楽観的になれた(30代・男性)

インプロで学べること

インプロをしていると学べることがたくさんあります。

私がインプロで学んだことをいくつか紹介していきます。

スポンテイニアス

スポンテイニアス(spontaneous)とは「自然発生的」や「自発的」という意味の英単語です。

インプロではアイデアを頑張って出そうとするのではなく、自然に浮かんできたものを素直に表現することが大切とされています。

いきなり即興でシーンをやろうとすると、どうしても「何か面白いことをしなければ」「すごいことを言わなければ」と、頭の中の検閲官が働きます。
しかし頑張って面白いアイデアを出そうとすればするほど、委縮し、クリエイティブな可能性を狭めてしまいます。
そうして出てくるアイデアはどれもありきたりで平凡、もしくは誰かの模倣でしかないのです。

インプロでは様々なゲームを通して、スポンテイニアスに表現できるようになるようにしていきます。

インプロゲーム

インプロには、たくさんのゲームがあります。

その一部を紹介していきます。

Yes And〈イェス アンド〉

「インプロといえば!」というくらい王道のインプロゲームです。

基本的に二人でおこないます。

相手が出したアイデアを受け入れ(Yesして)、そこに自分のアイデアを提案(Andして)物語を発展させていくゲームです。

例)
A「公園って久しぶりに来たなぁ」
B「でしょ?そうだと思った。ねえ、久しぶりにブランコ乗ろうよ」(公園にいるというアイデアを受け入れ、ブランコに乗るというアイデアを提案)
A「いいね!」(ブランコに乗るを受け入れ)

ふたりでブランコに乗る

A「どっちが高く上がれるかバトルしよう!」(ブランコの高さ勝負をするというアイデアを提案)
B「いいね!じゃあ負けたほうが秘密にしていることを話そう」(勝負を受け入れ、罰ゲームを提案)
A「わかった」(罰ゲームを受け入れ)

勝負している

A「勝ったー!」(自分が勝ったことを提案)
B「負けた…」(自分が負けたことを受け入れ)
B「じゃあ、秘密を話すね。実は…Aのことがずっと好きだった!」(Aのことが好きだったという提案)
A「え…?本当に?」
B「戸惑うよね。でも本当なんだ」
A「実は私もBのことずっと好きだった」

このような感じで、相手のアイデア受け入れて自分のアイデアさらに提案していくことを繰り返していきます。

話しかけける

これはコミュニケーションに役立つインプロゲームです。

このゲームは二人でおこないます。

まず電車のボックス席という設定で向かい合わせの席を作ります。

Aさんはこれから乗ってくる人、Bさんはもとから乗っている人という設定です。〈2人は他人〉

Bさんが座っているところに、Aさんがやってきて話しかけます。
Aさんの最初のミッションは「旅行ですか?」と聞くことです。

AさんはできるだけBさんに不審がられずに「旅行ですか?」と聞きます。

例〉

A「この席空いてますか?」

B「はい。空いてますよ」

A「座ってもいいですか?」

B「はい。どうぞ」

A「ありがとうございます。結構今日混んでますね」

B「そうですね」

A「なかなか席がなかったので、ありがとうございます」

B「いえいえ」

A「連休ですから旅行の人が多いですよね」

B「そうですね」

A「もしかして、ご旅行ですか?」

B「え?ああ、そうです」

A「そうなんですね!私も旅行なんです!私は大阪のほうに行くんですけど、どちらまで行かれるんですか?」

…このあとも、もっと仲良くなれるように続けます。

ゲーム終了後、座っていた人は、話しかけられてどう感じたかを話しかけた人にフィードバックします。

役割を交代して再び行います。

私は木です

3人で絵をどんどん作っていくゲームです。

3人組になります。

ひとりが「私は木です」と言って木のポーズをしながら真ん中に出ます。

次の人がそれを見て「私は鳥です」など思いついたものを言い、鳥のポーズをしながら入ります。(以下例です)

さらに次の人が「私は鳥の巣です」と思いついたもので入ります。

最初の人(木の人)は「私は鳥の巣を残します」と言ってひとり残します。

ほかの二人(木と鳥の人)はポーズを解除します。

選ばれた人が真ん中に出て「私は鳥の巣です」と言いながらポーズをとります。

以下「私はベランダです」「私は洗濯物です」のように繰り返します。